【心配はいらないよ】
創世記8・15~22、マタイ6・25-34節
    収穫感謝日合同礼拝メッセージ       

 世界の人口は約63億人です。それを100人に縮めると、20人の人は毎日お腹を空かせ、十分な栄養をとることができず、ひとりは死にそうな状態です。けれども15人は太りすぎで、ダイエットに懸命です。75人は食べ物の蓄えがあり、雨露をしのぐことが出来ていますが、あとの25人はそうではありません。17人は、きれいな安全な水を飲めません。これは2001年に出版された『世界がもし100人の村だったら』に出て来る文章の一部です。フードバンク(食料銀行)ということばを聞いたことがありますか? まだ食べることが出来るのにいろいろな理由で処分される「食べ物」を生活に困っている人、食べ物が無くて困っている人に提供する運動をこのように呼んでいます。このようなフードバンクで得られた食べ物で美味しいご馳走を食べてもらおうと、ボランティアの人たちが協力して、教会やお寺などで「子ども食堂」を定期的にオープンしている所もあります。

 今、聖書を読みました。最初の聖書には「ノア」さんのことが書かれています。神さまはノアとその家族に「動物一対ずつが入れる箱舟をつくりなさい」と命じられました。やがて「洪水」で「箱舟」に入らなかった人も動物も滅んでしまいます。ノアたちはそこで約1年を過ごします。水がひいたのかを確かめるために、最初に窓からカラスが次に鳩が出されます。オリーブの葉っぱをくわえた鳩が夕方ノアの所に帰ってきます。再び鳩を放つと、鳩は帰っては来ませんでした。ノアたちは箱舟を出ます。最初にノアは神さまに感謝して「焼き尽くす献げ物」を祭壇の上に献げました。その献げ物を喜ばれた神さまは「人に対して大地を呪うことは二度とすまい。」(創世記8章21b節)と言われます。

 世界は神さまを悲しませることばかりしています。戦争、自然破壊、抑圧、差別、排除、排斥、ひとり占め、そんなわたしたちを神さまは見放さず、見捨てることがないことを告げるためにイエス・キリストをこの世に遣わされました。イエス様はいちばん困っている人、いじめられている人、悲しみに打ちひしがれている人たちのいつも傍らにおられ、「大丈夫だよ!」「心配はいらないよ!」と、声をかけておられます。今読んだマタイによる福音書6章25~34節にはそのことが書かれています。神さまはみんなに「大丈夫だよ!」「心配はいらないよ!」と声をかけられますが、その中でもいちばんしんどい思いをしている人たちから声をかけて下さいます。

 あるときのことです。イエス様の所に数え切れない人たちが神さまのこと、神さまの国のキップを手に入れるためにやって来ました。男の人たちだけで五千人が集まっていました。夕方になりました。お弟子さんたちはイエス様に「夕方になりました。晩ご飯を食べる時間です。みんなを解散させて下さい。」それに対してイエス様は、「あなたがたで食べ物を・・」と言われます。みんなに食べてもらうためには少なくても100万円が必要です。弟子たちはとイエス様に反論します。すると大麦と干し魚をお弁当に持ってきた少年が、お弁当をイエス様に差し出すと、イエス様はお祈りをしました。そしてみんなに分けあうと、そこにいた人すべてが満腹することが出来たと書かれています。

 イエス様を信じる人たちは、この少年のように自分でひとり占めしないで、分かち合うことが求められています。