【解放をもたらす神】
イザヤ書55・1~11
ルカ福音書4・14~21                           
 
 黒人に対する警官の暴力(殺人)に対して全米で大きな抗議がなされていることが、報道されていた。明らかにあの映像を見る限り、大陪審の判決には納得がいかないと言う報道には頷ける。

 黒人霊歌とブルースを書いた黒人神学者ジェームス・コーンの『十字架とリンチの木』が翻訳された。そこには黒人に対する白人の言われなき暴力の数々、残忍さが描かれている。日本ではそのような差別はないと思われる。しかし、出自ゆえに結婚、就職差別されている人たちが今もいることを私たちは忘れてはならない。また在日外国人(韓国・朝鮮の人々)はヘイトスピーチ(差別煽動)に苦しめられている。新大久保はコリアンタウンとして知られているが、そこで牧師をしている在日の人がヘイトスピーチで多くの人が傷つき、店は商売することが適わず閉店している店が後を絶たないと言っていた。祖国に帰ることも出来ず、漂流を余儀なくされている「在日外国人」がいることにも眼をそらしてはならない。今日は、教団行事暦では、「社会事業奨励日」と定められている。機関誌「うんちゅうしゃ」の第9号には服部理事長が「賀川豊彦と雲柱社」と言う文章を掲載されている。そこには、賀川が葺合新川でなぜ活動したのか。どのように活動したのか、そして未曾有の関東大震災で賀川がどのような活動をしたのか、どのようにして社会福祉法人雲柱社が設立したのか、今後どのようなビジョンを描き、賀川ミッションを継承していくのかが書かれている。

 アドベント第二主日に与えられた聖書の箇所は、イザヤ書55章1~11節とルカによる福音書4章14~21節である。「来るがよい」と神は招かれる。その招きは「渇いたもの」への招きである。第二イザヤ書(40~55章)は、苦難の中で希望を失うような境遇に晒されている神を蔑ろにしていないイスラエルの人々への招きである。またルカによる福音書には、イエスがこの世に来られた目的が語られている。

 アドベントクランツに2本目のローソクが灯された。

 黎明保育園では、今週の土曜日にクリスマス礼拝が献げられ、キリン組(年長組)のページェントが行われる。そこでは世界ではじめのクリスマスの物語が子どもたちによって演じられる。子どもたちが喜びクリスマスを心から祝うことが出来れば良いと思う。(勿論上手くいくことにこしたことはない。)イエスが、この世に来られたのは、捕らわれている人たちに解放を、目の見えない人たちに視力の回復を告げ、圧迫されている人を自由にすることであると言う。詩編113編6~9節で神は何処におられるのかが語られている。また出エジプト記3章には、神は民の苦しみをつぶさに見、追い使うもののゆえに叫ぶ彼らの叫び声を聞き、その痛みを知っておられる」神であることが語られている。ある人がキリスト教(ユダヤ教、イスラム教)の唯一信仰は、神が私たちを選んだことを忘れては考えられないと言われている。「主が心引かれてあなたを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも、数が多かったからではない。あなたは他のどの民よりも貧弱であったから」(申命記7・7)であると記されている。解放をもたらす神は、虐げられた人、悲しんでいる人、様々な重荷に苛まれている人、病に苦しむ人がおられる。その神を信じ、自分の出来ることを精一杯行った人が賀川豊彦その人だ。