2012年 クリスマスメッセージ         
                 【今日はクリスマスだ】                                         
                                 ルカによる福音書2章1〜20節

 今日はクリスマスです。クリスマスは、「救い主」イエスの誕生を心からお祝いする日、よろこびの日です。

 今、“クリスマスのものがたり”の絵本を<ののはな>の人たちで読んでもらいました。わたしたちはクリスマス礼拝の度にこのクリスマスものがたりを聞きます。マリア、ヨセフは戸惑いながらも天使を通して語られた神の言葉を信じイエスを産む決意をします。わたしたちはこの二人の決断がどれほど大きなことであったのか、知ることは出来ません。ルカはいいます。「マリアは月が満ちて、はじめての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には泊まる場所がなかったからである。」(ルカによる福音書2章6節)臨月の妊婦が誰からも気にとめられず、家畜小屋での誕生を余儀なくされたのは「泊まる場所がない」という理由ですが、それがどのようなことを意味するのか、わたしたちは知らねばなりません。そしてこの誕生に駆けつけたのは、羊飼いたちでした。(ルカによる福音書2章8〜20節)危険、汚い、きついといわれ3kの仕事です。そして東方から来た占星術師も決してユダヤ人社会では、尊敬される人たちではありません。そのような人がイエスの誕生を心から喜んだのです。そしてそれぞれ自分たちの場所へと帰っていったと、書かれています。

 『置かれた場所で咲きなさい』という本が多くの人たちに読まれています。著者の渡辺和子さんは、教育総監であった父渡辺錠太郎が目の前で射殺されるのを目撃します。まだ幼かった彼女には、それがどれほどの衝撃であったのか、想像することすら私には出来ません。やがて、彼女は信仰をあたえられ、29才で、カトリックの修道女になり、ミッションスクールの責任を負います。そして50才の時、うつ病、60才の時には膠原病を患います。神さまを信じているのになぜ、どうしてと思ったに違いありません。でも、彼女はその病を受け入れ、85才になった今でも、多くの人たちに自分の体験を通して語り続けています。

 彼女はいいます。「どうしても咲けない時もあります。雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根をはるのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。」私たちの人生には、必ず試練が襲いかかります。その試練・苦難は人によって違います。けれども、私たちはその「試練・苦難」を受けとめ、生きる勇気があたえられています。

 今日はクリスマスです。「救い主」イエスの誕生を心から祝う日です。私たちもこの日、あの世界で最初のクリスマスの喜びに招かれた羊飼い、星に導かれて遙々やって来た占星術師たちのように、この礼拝を通して、どんなに辛い境遇であっても生きる勇気があたえられていることを神さまに感謝しましよう。

 インマヌエル(マタイ福音書1章23節)の神は、困惑しているヨセフに語りかけられたように語りかけておられます。私たちは、その声に対して、どのように応答しますか。ひとりひとりがそのことを心に留め、このクリスマスを心から共にお祝いしましょう。