【帝国の末路】part3
ヨハネ黙示録18章20~24節


 今日は世界宣教の日・世界聖餐日である。東支区から佐々木良子師が、ドイツのケルン・ボン日本語キリスト教会に、また北支区からは長尾有紀師が、韓国に宣教師としてそれぞれ遣わされている。『福音と世界』10月号に書かれている長尾有紀師の文章が、教団のリ-フレットに要約されていた。

  「アンニョンハセヨ! 韓国基督教長老会に派遣されている長尾有紀です。現在、日韓関係は過去最 悪の状況だ、と日本では言われているようです。一時帰国した際にも、「韓国では反日感情が高まっているようだが大丈夫か」と私を「心配」してくださる方に多く出会います。しかし、韓国で生活していると、日 本政府及びメディアが情報をねじ曲げて伝えているとしか思えません。私が感じるのは、日本側が韓国 に向けている嫌悪や差別感情が先にあり、それを「相手もそう思っているに違いない」と思い込み、自  己投影しているということです。国内で言われている「反日感情」との間には大きなズレがあります。(中 略)日本で言われているような、「日本に暮らす人々」に向けられる嫌悪感情ではないと私は感じていま す。」と報告していた。

 「倒れた。大バビロンが倒れた。」(2節)また「不幸だ、不幸だ、大いなる都」(10節)でローマ帝国がやがて滅びると預言者(長老)とヨハネの言葉を聞いた。独裁者が滅びる。独裁国家が滅びる。帝国が滅びると言うことは幸いである。自分たちを苦しめた独裁国家の滅亡は支配者によって抑圧された民にとっては「幸福」です。申命記32章35節、「この巻物の朗読を終えたとき、巻物に石を結び付け、ユーフラテス川に投げ込み、そして言いなさい。『このように、バビロンは沈む。わたしがくだす災いゆえに、再び立ちあがることはない。人々は力尽きる』(エレミヤ書51章63節)。

 このように帝国の滅びのメッセージを受けて、ヨハネは帝国の末路について語っている。「不幸だ…」という言葉が10、16、19節で語られていた。大バビロン帝国、贅沢三昧な生活をする者たち、貿易商人たちは私腹を肥やし、自分たちだけの幸福追求をしている。それは過去のことではない、現代の縮図でもある。政治家・資本家の一部はぬくぬくと贅沢三昧な生活をしている。その陰で多くの抑圧される者たちがいる。

 しかしローマ帝国は完膚なきまでに滅ぼされる。あのバビロンが滅ぼされたように。この報復をどのように受け止めれば良いのだろう。確かに抑圧された者たちにとって、抑圧する者たちの報復を望むのは当たり前、自然な感情である。

 そのことを考えながら子どもたちがわくわくして聞く「ヨナの物語」を思い起こした。アッシリアのニネベの人たち異邦人が悔い改めることをヨナは受け止めることはできない。神は言われた。「お前は、自分で労することも育てることもなく、一夜にして生じ、一夜にして滅びたこのとうごまの木さえ惜しんでいる。それならば、どうしてわたしが、この大いなる都ニネベを惜しまずにいられるだろうか。そこには、12万人以上の右も左もわきまえぬ人間と、無数の家畜がいるのだから。

 選民イスラエルだけが神の民である。という考え方に凝り固まっていた預言者ヨナは神の御心を知る。滅びる、滅亡することが御心ではない。

 神は神の言葉を受け入れ、「いのちの書」にすべての者の名前が記されることを望んでおられる。だからこそ、わたしたちは宣教する。聖書に生きる者として、イエス・キリストの生きざまに倣うものとして、この困惑する「報復」の思想の背後にあるメッセージを読み解きたい。